熊本県にある「なかせ農園」は、クロスエイジがプロデュースをさせて頂いている農家さんのひとつ。
糖度が高く焼きいもに最適なさつまいも、紅はるかを栽培し出荷を行っている。
そして、そんな「なかせ農園」の商品をクロスエイジが介して卸しているのが、
九州で150以上もの店舗を展開するスーパー、「マックスバリュ九州」だ。
生産者とバイヤーの間を繋ぐクロスエイジとは、それぞれから見てどんな存在なのか。他の仲卸業者と何が違うのか。
「なかせ農園」を経営している中瀬兄弟のおふたりと、マックスバリュ九州のバイヤーを務める佐藤健一さんをお招きし、
弊社・松永とともに語り合う座談会を実施。仕事上の繋がりだけでなく飲み会で語り合うこともあるという4人で、
改めてそれぞれの出会いから今の関係性、そしてお互いへの思いについて語ってもらった。
両親、弟と家族4名で熊本県菊池郡大津町にある「なかせ農園」を営む。
就農前は東京で出版社に勤務するサラリーマンだった。「なかせ農園」は約30年前に父親が始めたさつまいも農家。農薬や化学肥料の使用を最小限とし良質な完熟堆肥を豊富に使うなどの農法で、甘みが強く質の良いさつまいもを生産。最近では加工販売にも力を入れている。
大学卒業後、WEB制作会社に勤務。その後に実家の農家を継ぐことを決め、日本農業経営大学校へと入学する。在学中にクロスエイジのインターンシップに参加したことで、実家の商品がマックスバリュ九州に採用されることに。今では「なかせ農園」のさつまいもは、マックスバリュ九州の青果売り場で販売されている焼きいもの主力商品となっている。
マックスバリュ九州株式会社商品本部農産部カテゴリーマーチャンダイザー。
農産物の担当は24年、バイヤー歴は12年。生活者のトレンドやニーズを最前線でキャッチし、先回りした仕入れを日々行う。熊本県で催された食品展示会で弊社の松永と知り合ったことから、クロスエイジで取り扱う農産物を店舗へと取引させて頂いている。
会社の経営理念に興味を抱き、大学院卒業後に入社。
営業部課長を務める。生産者プロデューサーとして「なかせ農園」の商品化や販路開拓、新たな貯蔵庫建設後の販売計画作成支援など多角的に経営に携わる。また、「マックスバリュ九州」の営業担当として、季節ごとの農産物の提案を行っている。
「なかせ農園」との出会いは、健二さんがクロスエイジのインターンシップに参加されたこと。それで、マーケティングの勉強として実家のさつまいもの販促ツールを作ったりしてもらったんですよね。そのときにちょうど「マックスバリュ九州」の佐藤さんと商談の機会があったので、インターンシップの成果物として一緒に提案に行って。もちろん佐藤さんにはインターンシップの勉強のひとつとして、提案に来ていることは言わなかったですけど(笑)。
いやいや、提案されたので簡単に採用したというわけではないから(笑)。「このさつまいもは甘みが強く焼きいもにしたらおいしい品種なので、今から伸びていく商品です」という、松永さんからの説明を聞いた上でのことです。ちょうどこちらとしても時代的に焼きいもを商品として伸ばしたいという戦略があって、素材を探していたんだよね。それで味の良さや貯蔵技術を聞いて、商品POPも準備してあったので、サンプルをもらった時点で採用にしようと。
うちはマックスバリュさんに卸す前、市場や農協が卸先でした。貯蔵すれば甘くなる品種「紅はるか」を約7年前から作っていて、しっかり甘くなるまで貯蔵してから出荷をするんですが、市場や農協だと味よりも形や色、規格が揃っているかが大事になる。なのでもっとおいしさや品質を評価してくれるところに卸したいと考えていました。それで将来的な直販出荷を目指して、勉強のためにクロスエイジさんのインターンシップに参加したんですけど。まさか商談をさせてもらえて、そのまま販路につながるとは思っていなかったので…。そういう場を作ってもらえてありがたかったですね。
市場出荷だったときは、自分たちのさつまいもがどこでどんな風に並んでいるのか、農家側は全然わからない。でもマックスバリュさんは熊本にもたくさん店舗があって、そこで父の顔写真が入ったPOP付きで、我が家のさつまいもが販売されるようになった。今までと違う流通の仕方になったんだな、と感じましたよね。
クロスエイジさんは生産者との距離が近いですよね。農家さんと直接つながっているので「こういう規格にしてほしい」と言ったら、すぐに伝えてくれる。こちらの要望が伝わるのも早いし、生産者からの声が届くのも早い。それがお付き合いする上で一番のメリットです。そしてまた、クロスエイジさんのところの生産者の方は、既存規格にとらわれずに自由に規格を変えてくれたり話が通じる人が多い。
佐藤さんは「取引先の生産者も一緒になって盛りあげていこうね」と言ってくれるんですよね。それなのでこちらも、良い生産者と引き合わせたいという想いになります。だから生産者の方にも、スーパー側が考えていることを知ってもらいたいと思うし。それで、佐藤さんとの飲み会があるときは中瀬くんたちも呼んでいるんです。
この前も飲み会に呼んでいただいて。
そのときにも佐藤さんから、将来の参考になることを教えてもらいました。さつまいもをカットしてデリカ用にしたものとか、今後は業務加工用での需要が増えていくだろうと。だから、そういう広い視点で生活者のニーズをとらえた上で、簡単に調理ができるものなど、商品開発を進めていきたいですね。
そういうのは、販売している側から教えてもらわないと農家にはわからない部分。クロスエイジさんからの紹介だからこそ、こうしてアドバイスをくれる方と出会うことができたと思いますし。こうやって教えてもらえることで、「なかせ農園」の将来の方向性が良い方向に変わっていっている感じがします。
普通はね、私も生産者の方とそういうことを話す機会というのはあまりない。一般的な仲卸さんの場合だと、仲卸の会社と市場が生産者の間に入るから。生産者へ話が伝わるまでは二段階かかってしまうしね。生産者とクロスエイジさんの関係が良いからこそ、要望もアドバイスも出しやすくなっている。
クロスエイジさんは規模的にも大きくないし、初めはどうなのかなと思っていました。だけど、対応がすごく柔軟。そして小回りが利きますよね。市場や農協のように組織が大きいと既存の規格や考え方があるから、それを変えるのは難しい。でもクロスエイジさんだと、初めに1kg入りで用意してもらっていた商品を実際にお客さんの反応を見て「500gに変えたい」と要望をすると、「包材も変えてすぐに対応します」と言ってくれる。そこは本当にすごいですよね。
柔軟性は自分たちも感じますね。若いからこそお互い駆け引きをするわけではなく、手を明かした状態で取引ができるし。考え方の柔軟さも近いのかな、と。
松永さんは、営業課長の割に売り込みも話もうまくない(笑)。初めは「大丈夫かな?」と思っていました。だけど、こちらが要望したことに対してすごく対応が早かった。バイヤーというのは、そのときそのときの商品をいかに揃えられるかというのが力量。商品をスピード感を持って探してくれるブレーン、情報源になってくれる人が必要となる。松永さんというのはそこが非常に優秀な人。だから今では、困ったことがあると松永さんにとりあえず連絡するんですよ。
今まで仕事をやってきた中で、バイヤーさんに「壁を作られている」と感じたりすることもあるんですけど。佐藤さんは気さくにいろんなことを教えてくださる。だから、佐藤さんに頼まれたら何とかしようと自然に思いますね。そういう取引先があるというのは素晴らしいことなので、今後もこの関係性を続けていきたいなと思っています。
クロスエイジさんと取組を行うことになり、最初は「うちのさつまいもを任せて大丈夫かな?」という気持ちもありました。それが実際に契約をしてみたら、他の一般的な仲卸業者さんだったら出荷量が多いと「安くして」と言われるところを、クロスエイジさんは「売値はどうしたいですか?」と相談してくれる。
生産者側の経営のことを考えた価格で取引をすることができるんです。これって普通ありえないこと。
今ではうちのさつまいもと一緒に、うちの将来もお渡しているような気持ちです。そして松永さんは、ちょっとしたことでも電話をかけやすい。普通だったら聞こうか迷うことでもすぐに連絡をとれる相手なんです。例え、お互いにミスをしても構えることなく「あ、すみません」と言えるし、ミスを容認できる関係性がありますね。結果、仕事上の大きなミスを防げていると思います。
インターンシップのときから、自分にとって松永さんは上司でありお兄ちゃんのような存在。仕事以外のプライベートなことも相談しています。単なる農家と仲卸さんじゃなくて、一緒に歩んでいける存在なんですよね。今まで自分たちが「これじゃなきゃいけない」と思ってやってたことを「これでもいいんだよ」と言ってくれて、やり方も教えてくれる。いろんな道しるべをくれた人です。
「なかせ農園」のお二人とは同世代だし、熊本・大津地域の農家のリーダー的な存在になってほしいという気持ちを持っています。そのために自分が何をできるかというのを、一緒に考えていきたいですね。佐藤バイヤーも「なかせ農園」のお二人も、今後ともよろしくお願いします。